ACミラン、オーナー変更へ。
“ チャイナ・ミラン ”から“ USA・ミラン ”へ
新オーナーは、アメリカのエリオット・ファンド。
新体制で財政健全化と名門復活に意欲https://t.co/AfC6V27oLl— 海外サッカー移籍情報 (@soccer_Infor) July 12, 2018
名門復活を目指しチャイナマネーに活路を見出したACミラン。
現地では、“ チャイナ・ミラン ”と揶揄されたACミランだが、わずか1年でその歴史に幕を下ろした。
2017年4月13日運命の日が。中国投資家のリー・ヨンホン氏がミランを買収し、潤沢な中国資金を背景にクラブ再建がスタートした。
昨年夏の移籍市場で1億ユーロを超える巨額の投資を行い、順風満帆な形でスタートを切ることができたかに見えた。
だが、無秩序・無計画な補強は当時のミランを大きく混乱させた。
昨季開幕から低空飛行が続き、ヴィンチェンツォ・モンテッラ前監督を解任し、チームOBのジェンナーロ・ガットゥーゾ監督を招聘。
現役時代ミランで培った勝者のメンタリティーを選手へ叩き込み、昨季リーグ6位でフィニッシュ。
ヨーロッパリーグ出場権確保したものの、UEFAが制定するファイナンシャル・フェア・プレーに抵触し出場資格を失っている。
リー・ヨンホン氏は、アメリカのエリオット・ファンドの出資を受けミラン買収に成功。
だが、この出資に設定されいた返済期限内に3200万ユーロを支払うことができず、エリオット側にミランの保有権が移ることが決定。
リー・ヨンホン氏が、最後まで資金繰りに奔走し、出資先を探し続けてきた。
新たな出資者を募り複数のファンドと接触するも、最終的に交渉はことごとく破断している。
保有権がエリオット・ファンドに映ったことをホール・シンガー氏は次の通り声明を発表した。
「 オーナーシップと株式は我々の下へ移ることになった。以前のオーナーがエリオットとの契約を守れなかったことでこのような結末に至った 」
「 財政の安定化、マネー地面とをエリオットが担い、ミランに長期の成功をもたらすためにUEFAが定めるファイナンシャル・フェア・プレーに則った永続的なビジネスモデルを構築する。エリオットは困難な時期に直面するこのクラブをサポートできる喜びだけではなく、コーチのガットゥーゾと選手たちとともに将来の成功をつかむための挑戦を支えられることを嬉しく思う。まずは財政の健全化のために6000万ユーロをクラブに提供する 」
「 経済的な支援、安定化、適切な監視はフィールド内での成功とファンにとって必要不可欠だ。エリオットはこのクラブが欧州のトップクラブとして再び君臨するための挑戦を楽しみにしている。ミランの価値を高められるチャンスがあると強く信じている 」
昨年断行されたリー・ヨンホン氏によるミラン買収は、大きな無理があったことは間違いない。
巨額の利子を伴う3億ユーロの資金の借入、昨年夏の移籍市場で新戦力獲得に2億ユーロ以上の投資。
なによりも、相手チームの言い値で選手を次々と強奪していったミランの経営層が招いた結果であることは言うまでのない。
そもそも、巨額投資を了承した親会社にも経営の素人臭は隠しきれない。
ここからは、あくまで推測であるが、ヨンホン氏がエリオット・ファンドへ資金投資を申し出た時点で、エリオット側はこの結果を予測していたのではないかと考えてしまう。
2017年にミラン買収で投資した資金は、総額7億ユーロ越え。
エリオット・ファンドが、もしミランを買収する計画を練っていたら。今回の騒動は、非常に用意周到の動きであることは言うまでもない。
チャイナ・ミランは終焉し、USA・ミランが発足する。
アメリカの経営権が介入したことで慢性的な赤字が解消したり、盤石な経営基盤を築くことができたクラブは数多い。
アメリカの経営方針は、ヨーロッパサッカーで結果を残すことができるか物議を呼ぶこともあったが、結果がついてきているだけに…
とはいえ、短期的な結果を掴み取ることは難しいのが現状。
モデルケースは、ASローマだ。
クラブは限られた資金で一定の結果を残していたものの、崩壊直前の財政赤字は危機的状況にあった。
前オーナーが大きな決断をしたのが、2011年。アメリカ資本がローマを買収し新たな時代の幕開けとなった。
経営層変更後数シーズンは、結果を残すことはできなかったが、オーナー変更後3シーズン目に大きな変革が。
13-14シーズン以降、リーグ戦で3位以下に陥ることはなく、チャンピオンズリーグ出場権を5シーズン連続で確保している。
ミランにとって、ローマのモデルケースは非常に参考になることは多いだろう。
そもそもスタート時点のスカッドに大きな違いがあることは事実。
単年での結果は難しいかもしれないが、ミランはローマが要した3年も必要としないかもしれない。
USA・ミランの最初の一歩は、健全な経営体質に戻すことであり、堅実な戦力補強と育成に注力していくことで負のサイクルから脱却する最初の一歩を踏み出すことなのかもしれない。